逡巡しながら日記。

小鳥と人間のとるにたらない日常。

K、潮騒を観る。

昨日テレビで三島由紀夫原作の映画「潮騒」が放映され、Kはその映画を終始どこか遠くをみるように観ていた。もしかしたら、何年か前に礼文島に行き、漁業に携わったときのことを思い返しているのかもしれない。その後やっぱり都市で生きようと決めてからも、ことあるごとに強烈な色彩でこのときの想い出がよみがえった。それはなぜだろう。都市と漁村、都市と山村には、どうしても分かちがたい見えない壁があって、どちらかのほうへ進みすぎるとなにか非常なものを失ってしまう、という幻想にとりつかれている。「潮騒」の主人公新治が村で一番危険で魅力的な船で航海に出ると決めた勇気、Kはその勇気を発揮できるチャンスがほしくてほしくてたまらないのだと思う。チャンスは待っていてもやってこない。だからK、自分でその場に行くんだよ。